騎手・厩舎

騎手の勝率20%と10%、その差は腕の差?騎乗馬の人気から読む成績

騎手の勝率20%と10%、その差は腕の差?騎乗馬の人気から読む成績

騎手の成績表で、勝率20%と10%が並んでいる。どちらも十分な回数に乗っているなら、20%の騎手のほうが上手だと考えてよいのでしょうか。

全体の勝率だけでは、その差を騎手の腕の差とは言い切れません。乗った馬の人気の内訳が違うだけでも、全体の勝率は変わるからです。

今回は、架空の2人がそれぞれ100回騎乗した成績を使います。人気別に分けると勝率が同じなのに、全部をまとめると20%と10%に分かれる例です。成績表を見るとき、勝率の隣に何を並べればよいかを考えていきましょう。

騎手の勝率は「乗ったうち、何回勝ったか」

まず、比べている数字の意味をそろえます。

騎手の勝率=1着になった回数÷騎乗した回数。 パーセントで表すときは、その値に100を掛けます。100回乗って20勝なら20%、100回乗って10勝なら10%です。

この数字が直接表すのは、集計対象の騎乗でどれだけ勝ったかです。「同じ馬に乗せたら、どちらがどれだけ勝たせるか」を測った数字ではありません。

JRAの騎手成績の公表例でも、1着の回数、騎乗回数、勝率が並び、平地と障害を分けています。また、対象はJRA主催の競走のみ、何月何日現在の成績、と範囲が示されています。比べる前に、この範囲を読む必要があります。JRAの成績表の公表例

今回は説明を単純にするため、同じ期間のJRA平地競走に乗った2人を想定します。実在の騎手の成績ではなく、仕組みを確かめるために作った数字です。

まずは同じ100回。A騎手は20勝、B騎手は10勝

架空のA騎手とB騎手が、それぞれ100回乗ったとします。

  • A騎手:100回の騎乗で20勝。全体の勝率は20%。
  • B騎手:100回の騎乗で10勝。全体の勝率は10%。

今回は騎乗回数を同じにしました。「片方は少ししか乗っていないから」という説明では、この差を片づけられません。

そこで、どんな人気の馬に乗っていたかを見ます。ここでいう人気は、騎手自身の知名度ではなく、それぞれのレースでの馬の単勝人気です。

馬を「1〜3番人気」と「4番人気以下」の二つに分け、その内訳をA騎手とB騎手で比べてみましょう。この分け方は説明用です。実際の分析で、常にこの二分法が最適だという意味ではありません。

人気別に分けると、どちらも30%と5%になる

まず、1〜3番人気の馬に乗った分だけを取り出します。

  • A騎手:60回乗って18勝。18÷60=30%。
  • B騎手:20回乗って6勝。6÷20=30%。

このグループでは、2人の勝率は同じ30%です。ただし、乗った回数は同じではありません。A騎手は60回、B騎手は20回です。

続いて、4番人気以下の馬に乗った分を見ます。

  • A騎手:40回乗って2勝。2÷40=5%。
  • B騎手:80回乗って4勝。4÷80=5%。

こちらも、2人の勝率は同じ5%です。乗った回数はA騎手が40回、B騎手が80回でした。

架空の2人の成績。1〜3番人気ではAが60回18勝、Bが20回6勝でともに30%。4番人気以下ではAが40回2勝、Bが80回4勝でともに5%。合計はAが100回20勝、Bが100回10勝。

では、どうして全体では差がつくのでしょうか。

この例で勝率が高い「1〜3番人気」のグループに、A騎手のほうが多く乗っているからです。 A騎手は100回中60回、B騎手は100回中20回。人気別の勝率が同じでも、全体に占める割合が違います。

勝った回数を足すと、A騎手は18+2=20勝、B騎手は6+4=10勝。それぞれ100回の騎乗で割ると、最初の20%と10%に戻ります。

ここで30%と5%を足して2で割り、2人とも17.5%だとするのは、実際の全体勝率の計算にはなりません。二つのグループの騎乗回数が等しくないためです。全体に戻すときは、勝った回数を合計し、乗った回数の合計で割る。 この順なら、内訳と全体の関係を見失いません。

なお、30%と5%はこの架空例の数字です。JRA全体の標準的な勝率や、将来の勝つ確率を示しているわけではありません。

この例で分かることと、まだ分からないこと

この例から分かるのは、「全体の勝率に差がある」という事実だけで、騎手の技量の差まで決められないことです。同じ100回でも、何が100回に含まれているかは違う。 成績表の合計欄には、その違いが折り畳まれています。

一方、「人気別の勝率が同じだから、2人の腕も同じ」とまでは言えません。人気別に分ける作業で、ほかの条件まですべてそろうわけではないからです。

同じ3番人気でも、同じ強さの馬ではない

人気は、そのレース内での順番です。あるレースの3番人気と、別のレースの3番人気が、同じ能力や勝つ可能性を持つとは限りません。

出走頭数、相手の顔ぶれ、単勝オッズなどは異なります。今回の「1〜3番人気」という一つの箱の中でも、1番人気が多い人と3番人気が多い人では、さらに内訳が違いえます。

人気を条件に加えるのは、比較を一段具体的にするためです。人気を「馬の能力を完全にそろえる物差し」として使うと、また数字を読みすぎてしまいます。

人気には騎手への期待が含まれる可能性もある

馬券を買う人が騎手にも注目するなら、その期待が馬の人気やオッズに反映される可能性があります。人気だけで条件をそろえても、馬の能力と騎手への評価をきれいに切り離せるとは限りません。

だから、人気別成績は「同じような人気の馬に乗ったとき、どんな結果だったか」を読む材料として扱います。騎手を入れ替えた場合の結果まで、この表から言い当てることはできません。

実際の成績表では、この順番で確かめる

次に騎手の勝率を見たら、いきなり順位を付ける前に、次の順で表を読み直してみてください。

1.集計の範囲をそろえる。

対象期間、平地か障害か、JRAだけか地方・海外の成績も含むかを確認します。片方は今年、片方は通算という比較では、人気の内訳以前に対象が違います。

2.人気別に「騎乗回数・勝った回数・勝率」を並べる。

パーセントだけを抜き出さず、何回乗って何勝だったかも残します。人気別の内訳を取れない成績表なら、全体勝率だけでは分けて読めない、と判断を保留して構いません。

3.勝率の差と、騎乗した割合の差を分けて読む。

今回なら、人気別の勝率は同じで、1〜3番人気に乗った割合が違いました。実際には両方が違うこともあります。その場合も、全体の差を一つの理由にまとめず、どのグループで何が違うかを書き出します。

4.さらに条件を分けるなら、残る騎乗回数も一緒に見る。

同じ人気でも違いが大きいと感じたら、人気を1位ずつに分けたり、単勝オッズの範囲をそろえたりする見方があります。ただし、条件を増やすほど各グループの騎乗回数は少なくなります。少ない回数で出た高い勝率を、そのまま安定した傾向と扱わないようにします。

JRA-VANの公式案内には、年別・条件別の騎手成績が示されています。また、TARGETの公式ガイドでは、期間や単勝オッズを絞って騎手ごとに集計する方法を紹介しています。使っている成績サービスでも、同じ条件を取り出せるか確認してみましょう。JRA-VANの騎手・調教師戦績/TARGETのオッズを絞った集計例

ここで参照したTARGETのガイドは2021年の資料です。当時の騎手ランキングを現在の評価に使うものではありません。また、「何回以上なら必ず信頼できる」という一律の線を、この方法が保証するわけでもありません。

勝率の隣に、「何に何回乗ったか」を置く

成績を細かく見る目的は、低い勝率の騎手を無条件に持ち上げることでも、高い勝率を無意味にすることでもありません。

全体の数字で分かることと、内訳を見て初めて分かることを分けるためです。

今回の架空例なら、「A騎手は全体で20%、B騎手は10%。人気別の勝率は同じで、1〜3番人気に乗った割合がA騎手のほうが高い」と説明できます。最初の「20%のほうが上手そう」より、どこに差があるかが具体的になりました。

次に開く騎手の成績表では、勝率だけで判断する前に、人気別に何回乗っているかを探してみてください。その一列があるだけで、合計欄の見え方は変わります。

関連記事

勝った回数と出走回数の関係から確認したい方には、種牡馬の距離適性はどう読む?「2000mで12勝」の分母を確かめるも。今回は「同じ100回の中身」、関連記事では「12勝を何回の出走で挙げたか」を扱います。

参考資料

本文の騎乗数・勝数・勝率は、すべて説明用に作成した架空例です。資料確認日:2026年9月14日。

最高性能の競馬AIを、無料で。

騎手の成績を人気別に読んだら、その人が今回乗る馬にも目を向けてみましょう。UMADANでは、基本のAI予想と各馬の評価指数を無料でチェックできます。次のレースで騎手名から気になった一頭を、AIがどう評価しているか、アプリで確かめてみてください。

iPhone版 / Android版

UMADAN

最高性能の競馬AIを、無料で。

今日の競馬AI予想を見る ›