血統・種牡馬

血統の3×4は何の数字?同じ祖先までの「世代」をたどる読み方

血統の3×4は何の数字?同じ祖先までの「世代」をたどる読み方

血統欄にある「3×4」。掛け算なら12ですが、血統では計算するための式ではありません。

「祖先Aの3×4」は、同じ祖先Aが、その馬から3代前と4代前の位置に現れる、という意味です。 数字が示すのは祖先までの世代数。強さの点数でも、距離適性の数値でもありません。

では、その「3代前」はどこから数えるのでしょう。父の血統表を開いて数えるのか、予想している馬から数えるのか。ここがずれると、同じ名前を見つけても数字が一つ違ってしまいます。

この記事では、まず数える起点を決め、二つの経路をたどって3×4を読みます。最後には、血統表のどこを確認してメモすればよいかまで整理します。

最初の1代は「父・母」。本馬は起点です

ここでいう「本馬」は、いま血統を調べている馬のことです。その馬から親へ一つさかのぼると、父と母がいます。これが1代前です。

  • 1代前:父・母
  • 2代前:父の父、父の母、母の父、母の母
  • 3代前:その祖父母それぞれの父・母
  • 4代前:さらに一つ親へさかのぼった位置

数えるのは、血統表に並んでいる名前の順番ではなく、本馬から親へ何回さかのぼったかです。本馬自身を「1代前」に入れません。

たとえば「母の父」なら、本馬から母へ進んで1回、母からその父へ進んで2回。したがって2代前です。「母の父の父」なら、もう一つ親へ進むので3代前になります。

血統表を右にたどる形式なら、親の列、祖父母の列、その先の列という対応になります。ただし、表示の形を先に覚えるより、父・母が1代前という起点を押さえるほうが、別のサービスで血統表を見たときにも迷いません。

JRAの「インブリード」の説明でも、3×4などの数字は世代数を表すとされています。

二つの経路の先に、同じ祖先がいる

祖先Aの3×4がある馬の例を、父からの経路と母からの経路に分けてみます。

父からの経路:本馬 → 父 → 父の父 → 祖先A

親へさかのぼる回数は3回。祖先Aは、本馬の3代前にいます。

母からの経路:本馬 → 母 → 母の父 → 母の父の父 → 祖先A

こちらは4回。祖先Aは、本馬の4代前にもいます。

本馬から父方は3回、母方は4回さかのぼると、同じ祖先Aにたどり着く例。

二つの経路で見つかった「祖先A」は、名前の違う2頭をまとめたものではありません。同じ祖先が、血統表の異なる位置に登場しています。 この例を短く書いたものが「祖先Aの3×4」です。

図では父・母の先の経路を一つずつ取り出しています。実際の血統表には、ここで省いた別の祖先も並びます。3×4という短い表記は、血統全体を書き出したものではなく、特定の祖先が重複する位置を拾ったものです。

JRAは、血統表の5代前までに同じ祖先があるような配合を「インブリード」と説明しています。「クロス」も、この祖先の重複を読む場面で使われる言葉です。JRA-VANの解説では、実際の血統表と合わせて確認できます。

父のページを開くと、数字が一つ変わる

世代を数えるときに気をつけたいのが、途中で調べる馬を切り替えることです。

先ほどの父方の経路をもう一度見ます。

本馬 → 父 → 父の父 → 祖先A

本馬から祖先Aまでは3回でした。ところが、父のページを開き、今度はその父を起点にすると、祖先Aまでは「父 → 父の父 → 祖先A」の2回になります。

祖先の関係が変わったわけではありません。数え始める馬が一つ動いたため、3代前だった祖先が2代前になったのです。

父や母の血統を別ページで調べると、世代の数字を本馬のものとして読み戻してしまうことがあります。クロスを確認するときは、ページ上の馬名が、最初に調べたかった馬かどうかを先に確かめてください。

メモにも「誰から見た3代前か」を残しておくと、この取り違えを避けられます。

4×3や5×5×5も、同じ数え方で読める

「3×4」と「4×3」は、どちらも3代前と4代前の重複を含みます。ただし、その祖先が父方と母方のどちらにあるかまで、同じという意味ではありません。

父方、母方の順で表示する例なら、父方3代・母方4代は3×4、父方4代・母方3代は4×3です。JRA-VANの前述の解説では、オルフェーヴルのノーザンテーストについて、父方4代前・母方3代前を「4×3」と表しています。

数字だけを見て左右の位置を決めつけず、利用している血統表の表示と父方・母方の区分を合わせて確認すると確実です。同じ側に複数の重複がある場合も、短い表記だけでは経路の細部までは読み取れません。

では、「祖先Aの5×5×5」はどうでしょう。

これは、5代前の位置に祖先Aが3回現れるという意味です。5×5×5を計算して125にするのではなく、並んだ三つの「5」を、それぞれの登場位置として読みます。JRAの用語辞典にも、この読み方が示されています。

「祖先Aの3×4」と「祖先Bの3×4」も区別しましょう。世代の並びは同じでも、重複している祖先が違います。数字だけを抜き出すより、祖先名と世代数をセットにするほうが、血統情報を正確に残せます。

3×4は、能力判定まで書いた記号ではない

同じ祖先Aの3×4を持つ馬が2頭いても、それだけで血統全体が一致するわけではありません。祖先Aへつながる途中の馬や、ほかの位置にいる祖先が異なることがあるからです。

ここまでで3×4から読み取れたのは、「誰が、何代前に、重複しているか」でした。その馬が今日の距離や馬場に合うかという問いには、まだ答えていません。

JRAはインブリードの目的を祖先の望ましい特徴の固定と説明する一方、好ましくない特徴が現れる危険性にも触れています。クロスがあることだけを、長所が必ず出ている証拠にはできません。

血統から仮説を持つことと、目の前の馬でその特徴を確かめることは、続けて行う別の作業です。「このクロスだから得意」と書く前に、その適性を考えた材料が、血統表の位置なのか、その馬の走った内容なのかを分けておくと、後から検討をたどれます。

種牡馬の産駒成績を根拠に距離適性を考える場合は、勝ち数だけでなく出走数との関係も必要になります。その読み方は「2000mで12勝」の分母を確かめる記事で扱っています。

次に血統表を開いたら、この順で確認する

一度に全祖先を覚えようとせず、気になったクロスを一つ選んでたどってみてください。

  1. 本馬の名前を確認する。 父や母のページへ移ったまま数えない。
  2. 重複する祖先名を探す。 数字が同じでも、祖先が違えば別のクロス。
  3. 父・母を1代前として数える。 親へ進むたびに一つ増やす。
  4. それぞれの経路と位置を残す。 「祖先A/父方3代・母方4代」のようにメモする。

このメモから分かるのは、血統表上のつながりです。適性や走りへの解釈を加えるなら、位置を確認した事実とは別の一文にしておきましょう。

3×4を見て、その場で掛け算をしたり、強さに置き換えたりする必要はありません。本馬から同じ祖先へたどり着く、二つの経路を探す。その読み方が分かれば、短い血統表記を実際の血統表へ戻して確認できます。

参考資料

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